本文
宿屋レギオンズソウルのロビーで、サクラは母からの手紙を読んでいました。
「ナンテ書イテアルンダ?サクラ」
アルルがサクラの側に寄り添いました。
「うん・・帝国の侵略が激しさを増しているって」
「ナントカシテヤリタイガ、コレバカリハ・・ナ」
そのとき、後ろで話声が聞こえてきました。
「・・・偽島の宝玉を揃えたら願いが叶うらしいぜ」
「ほんとかよ。どこに隠されてんだろうな」
(宝玉・・・ですって?)
「宝玉ダト?胡散クサイ。ナァ、サク・・・ラ?」
「・・・宝玉があれば、東方諸国は・・・」
「オ、オイオイ、マサカ本気ニシテナイヨナ?」
「・・・いくわよ、アルル」
「ヘ?行クッテドコニ?・・・オ、オイ待テヨ」
サクラは憑かれたように遺跡の入り口へと走っていきました。
「ヤメロ、サクラ。一人デ行ッテモ、ドウシヨウモナイダロ」
「・・・こんなことしてる間にも、たくさんの・・・たくさんの人達が・・・」
「サ・・クラ?・・泣イテルノカ・・?」
サクラは魔法陣に着くと駆け出し、アルルは必死にサクラの後を追いました。
「サクラー!待テー・・・ハァハァ・・ソッチハ・・危険ダ・・・誰カー!」
そのとき、マジックロープがサクラの足に絡まりました。
思わずこけるサクラ、その後ろに見覚えのある人影が立っていました。
「一人で冒険なんて勇敢というより無謀ね」
「あ、あなたは・・・ギルドの・・」
「アルマよ。さ、手を」
アルマはサクラを起こし上げました。
「ハァハァ・・・スマナカッタ、アルマ。落チ着イタヨウダナ、サクラ。ハァハァ・・」
「さぁ、涙を拭いてサクラさん。いったいどうしたの」
「は、はい・・・」
2人と一匹は倒木に腰をかけて話し始めました。
「――実は私も探し物をしてるんだけど、よかったら一緒に行かない?サクラさん」
「え・・でも私、マリナさんと・・・」
「霜月さん合わせてちょうど3人パーティーになるし、私の魔力で宝玉の場所を調べることができるかも知れないし」
「・・・少し考えさせてもらえませんか」
「分かったわ。明日にここの魔法陣で待ってるから。じゃあ」
そういうとアルマは、ゆっくり立ち上がり魔方陣へ向かって歩いてゆきました。
「サクラ、スマナイ・・・。オ前ノ気持チヲ、全ク分カッテナカッタ・・・」
「ねぇ、アルル。初めて会った時のことを覚えてる?」
「アァ」
「私、アルルと2人できっと何かをやるんだろうな、って感じたんだ」
「何カッテ?」
「わかんない。でも、もしかして・・・」
「・・・宝玉カ・・・」
「私、明日ここに来る。マリナさんには話すわ」
「ソウカ。私ハ、イツダッテサクラノ傍ニ居ルヨ」
「・・・えへ、走ったらお腹空いちゃった」
「ソウダナ。帰ロウカ、サクラ」
その頃、アルマは遺跡外への道を物思いに耽りながら歩いていました。
(あの、サクラって子どこかで逢ったことがあるわ。確か・・・)
――今、2つの国の光が運命の再会をしようとしていました。
三姫の別れへ続く
作者
パティ☆
- アルマさんのご感想から、会話のやりとりを改良させていただきました - パティ☆ (2010年01月31日 01時29分59秒)