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11日目の探索とボス戦を終えたサクラ達は、レギオンズソウルで束の間の安らぎを楽しんでいました。
「あるるの召喚魔法すごかったぁー」
「ソ、ソウカイ?」
「こんど、ボクにも教えてよー」
皆が話しに華を咲かせているのを横目に、サクラはそっと部屋を抜け出しました。
「・・・」
サクラが東の空をじっと眺めていると、いつのまにかマリナが傍に立っていました。
「マリナさん・・・」
「じぱんぐが気になるのですか?」
マリナは優しく微笑みながらサクラと一緒に窓の外を眺めました。
「ところでサクラさんのお母様、もしかしてビオラというお名前ではなくて?」
「え?母をご存知なのですか」
「ええ、私が幼い頃に遊んでいただいたことがありましたの」
「マリナさんと母は、お知り合いだったのですね」
「スズミヤという名を聞いて、もしやと思っていましたわ」
マリナはゆっくりとサクラの方へ向き直りました。
「ガルバルディーン帝国が何度も東方諸国へ出兵しているらしいですね」
「・・・はい。母から手紙が届きました。状況は日に日に悪くなっていると・・・」
――― いつも明るく振舞っているけれど、心の中は・・・可愛そうに・・・
「サクラさん、私たちと離れて違うパーティへ行きたいのでしょう?」
「え・・・いや・・・私・・・」
サクラは心中を言い当てられ狼狽しました。
「サクラさん、前に言ってましたわね。『皆を、じぱんぐを守るため強くなりたい』って」
「・・・ご、ごめんなさい!」
「いいんですのよ。色々な人たちと出会うことはサクラさんの成長にきっと役立ちますわ」
優しく微笑むマリナにサクラは涙ぐみました。
「あ、ありがとうございます。私、きっとマリナさんみたいな・・・」
「ん・・・なんですの」
「えへ・・な、なんでもないです」
サクラは涙を拭い、いつもの笑顔に戻りました。
「ねぇー、ママ様。あるると一緒にちょっとだけお出かけしていいー?」
「あむガ私ニ乗リタイト聞カナインダ、イイダロ、サクラ?」
部屋の中からアミリアとアルルの声が聞こえてきました。
「いいけど、危ないことしないでよ、アルル」
「お夕飯には帰るんですのよ、あむちゃん」
「わぁーい、行こ、あるる♪」
「オ、オイオイ、引っ張ラナイデクレヨ♪」
いそいそと出かける二人を見送りながら、サクラとマリナは顔を見合わせて笑いました。
「さぁ、お夕飯のお買い物に行きましょうか。サクラさん」
「はい。マリナさん」
小雪がちらつく凍て付く道を、サクラとマリナは暖ったかい気持ちで歩いていくのでした。
サクラとさくらへ続く
作者
パティ☆
- マリナさん、あむちゃん、本当にお世話になりました♪ - パティ☆ (2010年01月13日 17時41分51秒)