本文
「おぉ、スズミヤ殿。遠路はるばるよく来られた」
「アリアドス公。久しぶりですな」
二人の男は手を握り再会を喜び合いました。
「うん?こちらは貴殿のご息女か?」
「お初にお目にかかります。サクラ=スズミヤと申します」
「はは、とんだお転婆で困っておりまする」
「いやいや、とても可愛らしくておられる。ささ、中へ入られよ」
宮殿の中へ進んでいくと、金色の髪に碧い瞳の少女が控えていました。
「スズミヤ殿、これは我が娘アルテリアです。」
年の頃はサクラと同じ位の少女はペコリと頭を下げました。
「アルテリア、こちらはスズミヤ殿だ。じぱんぐという東方国からこられた。そしてこちらがそのご息女の――」
「サクラよ。よろしくね」
サクラは人懐っこくアルテリアへ手を差し伸べました。
「これ、サクラ。馴れ馴れしくし過ぎだぞ」
「なぁに、女性もこれくらい社交性がなくてはなりませぬ。ははは」
「いやはや、お恥ずかしい。ははは」
笑いあう男達をよそ目に、サクラはアルテリアの手を取ると宮殿の奥へ進みだしました。
「えへ、ごめんね。私、ああいう堅苦しいの苦手なの」
ペロリと下を出すサクラに、目を白黒させていたアルテリアも思わずふきだしました。
「面白い子ね。私はアルテリア。アルマって呼んでいいわ」
「よろしくね、アルマ」
「じぱんぐって、どんな国なの?」
「ん・・・と、山がきれいで、海もきれいで、川も湖もとってもきれいな国、かな?」
「くすくす・・・きれいなモノだらけの国なのね」
アルマは宮殿の中庭にかがみこみました。
「はい。これは今日私たちがお友達になった印よ」
そういってアルマは、サクラの髪に碧い花を差しました。
「ありがとう。わぁ・・いい匂い」
「私たち、またどこかで逢えたらいいわね」
「うん、また逢えるわ。きっとね」
二人の少女は手をつなぎ、晴天の青空を見上げるのでした。
この先、想像もできない運命の再会が待っていようとも知らずに――
作者
パティ☆