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SS:星空

 本文


――満天の星空の下、金髪の少女はひとり空を眺めていた。

「パドメ」
「アルルさん」
竜騎士の鞍を身に着けた蒼竜が、少女のそばに寄り添った。

「妖魔ドモガ、攻メ込ミ始メタヨウダナ」
「・・・」
パドメと呼ばれた少女は、悲しそうに微笑んだ。
「明日には、アルカード王子様の騎馬隊が来てくれるでしょう」

「ナァ、パドメ」
アルルは気になっていたことを聞いてみた。
「女神ノ巫女ノアンタガ、何故竜騎士ナンカニナッタンダ?」

パドメは竜騎士の指輪を眺めながら微笑んだ。
「女神ウルディアの御心だから・・・私には巫女としてこの地を守る義務があります」


いかに戦時下といえ――
 いかにパドメの魔力が欲しいからといえ――
 このような無垢な少女をも戦火に巻き込むとは――

人間とは・・・愚かな・・・


アルルはゆっくりと体を回すと、人間の青年に姿を変えた。
「オ嬢様、私ト踊ッテイタダケマセンカ?」
「まぁ」
パドメは驚いてアルルを眺めた。

「くすくす・・貴方って器用ね」
「サァ、オ嬢様、手ヲ・・・」
「わ、きゃ・・」

二人の姿を満天の星たちが優しく照らしだした。


――せめてこのひと時が
 
アルルは思った。

――せめてこのひと時が、少しでもゆっくりと流れてゆきますように・・・

悲しき戦い 前編へ続く

作者

パティ☆

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