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長い道のりを経て私はクラウンフィールド皇国に立ち寄った。
見聞の為・・・というのもあったが、アルフォンヌさんの安否が気になったという部分が大きかった。
「私達はクラウンフィールド皇国の親戚を尋ねる事にします。」
あの時の一言を今でも覚えている。
それに・・・あの時にはぐれてしまったプララさんがもしかすれば居るのではないか?という淡い期待もあった。
その国の建物の名前は特徴的だった。
- 武器屋 プレリュード(前奏曲)
- 酒場 ノクターン(夜想曲)
- 広場 シンフォニア(交響曲)
- 劇場 ファンタジア(幻想曲)
- 仕立屋 アンプロンプチュ(即興曲)
- 病院 コンチェルト(協奏曲)
- 宿屋 ラプソディー(狂詩曲)
- 道具屋 カプリス(奇想曲)
- 王城 セレナーデ(小夜曲)
等々といった感じだった。
今は亡き王妃が歌を好み現在の王女も同じくして歌を好む為、街の人々が至る所を改名し曲の名前を名付けたらしい。
私はひとまず仕立屋 アンプロンプチュを訪ねてみた。もし彼女が生きていれば仕立屋で生計している筈・・・と考えた結果である。
「いらっしゃいま・・・あ・・・」
「お久しぶりです、アルフォンヌさん」
「千鶴さん、お久しぶりです。お互い無事だったようですね」
「ええ、お元気そうで何よりです」
「今までどうされてました」
私はかいつまんで今までの経緯を話した。
そんな話をする内にアルフォンヌさんの家にて暫く滞在させて貰う事になったのだった。
「この街は穏やかですね。優しい雰囲気が心地良い」私はそんな事を呟いていた。
そんなある日の昼下がり、街を散策していた千鶴に流れるような優しい響きの歌声が聞こえてきた。
声を辿ると広場の一角に人だかりが出来ていた。
その中央では歌を奏でる一人の女性がいた。
作者
水薙
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- 現状色々修正中の為書き直ししております。掲載は暫くお待ち下さい。 - 作者